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2010,01,31, Sunday
![]() 電子書籍を読めるキンドルなるものが仕事場で話題になりました。 僕は書籍は紙、派なのであんまり興味ありませんが。 印税分配率70%だって。 すげー。 出版社が訴えるとか法整備とか息巻いてるらしいけど、かなりおかしな話だよね? 僕は図書館派ですが、そういえば図書館は利益分配とかしてるのかね? CDとか映画とか借りられるよね? 本当はこのエントリを昨日の夜に上げようと思ったんだけど、確認したい事が出てきて図書館にもう一度本を借りに行ってしまった。 折角だから代わりに何か上げるか、とやっつけエントリを。 それが前回の雑記。 以下、敬称略。 ○海がきこえる ○海がきこえる 2 氷室冴子 何度目の再読か分からないけど再読。 とても好きな話。 ジブリがアニメ化してるけど、微妙に設定が変わっていたりエピソードが削られていたり。 分かるけど。 そんなのは認めない。 非常に評判がいい本で、ファンもとても多い。 僕の稚拙な文章では全く表現できないのだけれど、誰もが通った道、というものを表現しているのだと思う。 こういう話はデビュー初期にしか書けないと思うのだけれど、それをキャリアの中盤で書き上げたという事がとにかく凄い。 後書きにもあったけど、意識して書き方を変えた、と言う事が上手く作用したのだと思う。 イメージ先行でこういう話を作ると、最近の「絵だけ綺麗」なドラマや映画のようになりそうだけど、基本を身につけた人だからこそ、イメージ先行でもまとまっているのだと思う。 アニメも好きだけど。 「耳をすませば」とか好きな人はどうぞ。 続編を望む声が大変に多い作品でしたが、作者の氷室さんは2008年に51歳で亡くなられました。 ご冥福をお祈りします。 ○鏡の中は日曜日 殊能 将之 「ハサミ男」があんまりに面白かったので、その後何作かこの人の本を読んだ。 何かあんまり、な感じで一発屋臭を感じていたのだけれど、これはなかなか良かった。 推理物と言うより読み物として楽しむ感じだったけれど、話の作りは挑戦的なものを感じる。 森博嗣と同じような話の作り方を目指してるのかな、と思ったけど、レビューだと綾辻行人の館シリーズへのオマージュという意見も見かけた。 僕は綾辻行人は一作も読んでいないので分からないけど、現代で推理物を作ろうとしたらこういう方向性の話は自然に増えてしまうのだと思う。 トリック、と言う物の原型は出尽くしていて、デコレーションの部分でしか勝負できないから。 姑獲鳥の夏とか魍魎の匣とか、読んだときもそう思った。ただ、デコレーションの部分が圧倒的に凄かった。 この本はそんなにこってりしてない。 ○別冊 図書館戦争I II 有川浩 世の中でどうのこうの言われようと、僕は図書館戦争が好き。 この本はベタ甘を楽しむための本であり、舞台はそれを演出するための要素と割り切るべき。 ある程度こういう展開を自分で妄想する事は、大なり小なり、誰しも、絶対にあると思うのだけど、それを出せる、と言う事が凄い。 これは、「堀さんと宮村くん」でも思った。 文章を書くときは結構筆の動くがままなので、考えてる事、書きたかった事からずれていったりするんだけど。 ネームとかもそう、キャラが言う事聞かない。しかも、キャラが立ってるわけでもないのに。 別冊図書館戦争の感想もこんな事書きたかったわけではないのだが、まあいいだろう、許してやろう。 あまり私を本気にさせない方がいい・・・・ ○オリエント急行殺人事件 アガサ・クリスティ アクロイド殺害事件と並んで超有名作品。 トリック黎明期の先駆者。 僕が子供の時に考えたトリックがもう使われていた。 でも読んで分かるが、とても自分ではここまでちゃんと作品には出来ない。 あまりに独創的なトリックで「アクロイド殺害事件」と共に物議を醸し出した作品。(多分) フェアか、アンフェアか、と言う議論がミステリィ好きの間ではしばしば論じられるが、非常に特殊なジャンルだと思う。 フェア、と言う概念はルールが存在してのものだと思うのだけれど、推理小説には特定のルールなんて勿論存在していない。 にもかかわらず、「これはないわ」という思いに駆られる。 ミステリィを読む人の頭の中には最低限のルールが存在する。物凄く特殊なジャンルだと思う。 ただ、クリスティの凄いところは全く嘘を書かない事。(当たり前なんだけど) 読み返してみると、非常に繊細に地の文章が作られている。 「ああ・・・」と、思う部分が多くて面白い。 ○そして誰もいなくなった アガサ・クリスティ これまた超有名作品。 横溝正史読んだ感想で、「現代推理物の礎がここに」みたいな事を書いたけど。 もっとずいぶん前にありましたね。 無人島に集められる10人。 招待した島の主は現れない。 嵐によって孤立する無人島。 有名な童歌(マザーグース)になぞらえて一人ずつ殺されていく様。 それに併せて用意されていた10体の人形が同じように破壊されていく。 金田一少年の事件簿とか、とにかく殺人ものの演出の出発点がここに。 タイトルも素晴らしい。 上のオリエント急行でも書いたけど、ミステリィにはルールがあって地の文で嘘を書いてはいけない。 これは絶対的なルールだ。 これを守らないと推理物として成り立たなくなる。 「そして誰もいなくなった」を読み直すとゾクゾクする。 ああ、これはこういう事だったのか、と登場人物の腹の黒さが透けて見える。 この本の解説文を見つけたので、是非読んで欲しい。 ただ、絶対に「アクロイド殺害事件」と「そして誰もいなくなった」を読んでからにして欲しい。 ネタバレを含むから。 読む前にネタバレなんて物凄く勿体ない本だから。だからリンクは張らない。 「そして誰もいなくなった」のWikipediaに貼ってある、若島正さんの「明るい館の秘密」と言う文章がそれ。 訳者が作者の意図を理解できずに誤訳している部分がある。 それ程までに見事なクリスティの文章。 クリスティはあくまで、地の文章で嘘をつかないように、フェアに書いている。 このコラムを読むと、作者の誤訳故に、読者としての自分は今まで正しく読めていなかったのではないだろうか? と考えてしまう。 「アクロイド殺害事件」でフェア、アンフェアの論争が起こるのは理解できる。 しかし、話の構造上「そして誰もいなくなった」はより難しい表現を求められる。 そこを見事にクリアした傑作。 たとえ話の筋を知っていたとしても読んで欲しい1冊。 ただ、原題最初のタイトル、Ten Little Niggersは頂けない。 ○チムニーズ荘の秘密 アガサ・クリスティ ポワロが出てくるでもなく、マープルが出てくるでもなく、奇抜なトリックが使われるでもない。 しかしこれは読み物としてとても面白い。 クリスティは独創的なトリックが多すぎて、そちらに目が向きがちだけど、キャラを立てるのが非常に上手い。 ポワロなんて抜群に立っているし、ドラマ版のポワロはそれを見事に再現している。 ドラマ版はポワロの役者を見てるだけで楽しい。(あの役者さんは本来はかなりイメージが違って結構かっこいい人らしい) 特にヒロインのキャラが素晴らしい。 美人で奔放、というキャラで最初から出てくるのに魅力的。 これって凄い。 主人公のキャラもいいし、事件への関わり方もひねりが効いていて物語にスピード感がある。 特別勧めないけど、外さない本。 「解決法は常にあります」アンソニーが憂鬱そうにいった。「代価を払うつもりなら、なんでもほしい物をいつでも手に入れられる、というのが僕の主義です。そして、その代価というのは、十中八、九まで、なんだと思いますか?妥協です。妥協というのはいやなものですが、中年に近づくにつれて、そいつが忍び寄ってきます。いまのぼくにも忍び寄っているのです。」 ○ミステリィ工作室 森博嗣 森博嗣がかなり初期に出したエッセイ本。再読。 かなり珍しく、本人が自分の作品について解説している。 が、一番面白いのは冒頭の、ミステリィベスト100的な森さん独自のチョイス。 この100冊の解説がとても面白い。 この解説を読む事が面白い。 紹介されている本も、読んでみたくなる。 僕が100冊の中で読んだ事があったのは20冊ぐらい。 面白い本を読んでみたい、という人は参考にしてみて欲しい。 クリックでweb拍手送れます |
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